2013年6月19日水曜日

たたなづく

武道を稽古するのは楽しい。
山登りも楽しい。

武道には、先生方がいらっしゃる。
山登りには、ガイドさんがいる場合がある。
ただし、地図はいつも持っている。

地図にはたいてい、いろいろな道が引いてある。
道筋は短い場合もあり、長くとも花や景観、山水の印が付けてある場合もある。

武道では時に、先生方がそれぞれ、別のことをおっしゃる場合がある。
M先生は、お前は受審を控えているのだから、7本目までを正しく稽古せよとおっしゃる。
F先生は、形を沢山お教え下さる。

先生方には、それぞれのお考えがある。
いずれも理があると信じて、私は稽古する。
私はまだ麓にいるのだから。

察するにある先生は、頂に登る捷径をお示し下さっているのだろう。
別の先生は、ほらここにノスリの飛ぶ姿が、更に別の先生は、ここにうまい山水があるぞと、教えて下さるのだろう。

そしてお師匠様はおっしゃる。
出来るだけ沢山の先生方に、お教え頂きなさい。

私はもうすぐ、死んでしまう。何の病も抱えていないが、あらゆる生き物とはそういうものだ。
それがいつかは分からない。ならば死ぬまでの間、出来るだけ楽しみたいものだ。
幸いにも、いろいろな先生方の示される道を、見て回れる体質に恵まれた。

偶然から、この道を歩むことになった。
そしてどうやらこの道は、山であるらしい、と見当が付くところまで来た。頂ははるかに高い。
しかし、無二念に頂を目指すも良し、鳥や水を楽しむも良し。

教わることはかくも、愉快である。

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