2012年5月11日金曜日

武芸と人格

侍は、とにかく武芸に精を出すべきである。
広く世の中の人を見ると、武芸を好む人には、人柄の悪い人は少ない。しかし学者はたいてい、人柄が悪い。
学問をする人の中で、ひねくれ者は回りくどい役立たずになり、才能がある人はやりたい放題のわがまま者になる。いわゆる、学者馬鹿という者である。
武芸者には頑固な人もいるが、その人柄は、学問をした者より、たいていは良いと言う事が出来るだろう。

湯浅常山*『文会雑記』

*湯浅常山:江戸中期、岡山の儒学者。著作に『常山紀談』など。
常山先生は名の知られた学者であると同時に、武術の稽古を欠かさなかった人のようだから、こうおっしゃるのももっともだ。

新弟子はずいぶん長い事、学問の世界にいた(今もいると言っていいかも)ので、常山先生の言う事はもっともだと思う。杖道を含め、武術を稽古し始めてから3年ほどになるが、この世界には人格者がいるものだなぁ、と感心する事たびたびである。
これを、武道界にいじわるな人はいない、と勘違いすれば、それは論理的でない上に甘えというものだが、今後どのような立派な方に出会うかが、楽しみではある。

0 件のコメント:

コメントを投稿