2014年5月9日金曜日

短杖術のこと

話は杖道を学び始める前にさかのぼる。当時合気道を稽古していたのだが、それよりさらに前かも知れない。


中年になるまで武道と無縁に過ごした私が、合気道を選んだのにはわけがある。それは、体術ばかりでなく、武器術をも含んでいたからだ。ガキの頃からどういうわけか、手先だけは器用だった私は、どうせなら体術ばかりでなく武器術も、と考えたわけだ。

というわけで始めたのだが、残念ながら通った道場では、剣術のごくさわりを習ったに過ぎなかった。無論お師匠様は剣のみならず、杖にも達者な方だったが、そのカリキュラムはかなり高段になってからのことだったらしく、教えて頂けるまでには及ばなかった。

その後様々な事情でその道場を離れたが、今でもお師匠様には感謝している。ただやめた時に思ったのは、ハテ、次に何を始めようかということだ。

剣が趣味に合わないことはわかっていた。今は勘違いと知っているが、実際に使いようのない剣術を身につけて、どうなるものでもあるまいと思ったからだ。それで棒術に目を付けたのだが、実のところそれは短杖であって、杖道を始めようとは考えてもいなかった。

やはり実用、を考えたからだ。今でもこれは変わっていない。ステッキを持ち歩くことは出来ても、黄門様でもない限り、杖を持ち歩くわけにはいかない。そこで短杖術、半棒術の道場を探したが、これがどこにも存在しない。

いや、稽古の一環として教授しておられる先生方はおいでだ。しかしどのHPを見ても、短杖はついでに教えられているに過ぎない。これではコストパフォーマンスが悪すぎる、と当時の私は考えた。

その後色々あって、いま杖道を修業するに至る。しかし今もなお、短杖への興味は尽きない。ところが制定形さえまともに出来ぬ今、道場で短杖短杖と言ってのけるのは気が引ける。

というわけでさまざま書籍を買い集めたり、ネットで情報を調べたりもする。とりわけ興味を引いたのは、初見先生の戸隠流だ。正確には、九鬼神流半棒術と言うべきなのかも知れないが、正確なところはわからない。

過日偶然から、先生のお弟子が開く道場が、近場にあることを知った。早速お伺いを立ててみたのだが、半棒術は教授していない、とのこと。初見先生も大昔に他のお弟子に教えただけで、今は習う者もいないそうだ。残念なことだ。

さらに残念なのは、本来併修すべき内田流短杖術の書籍が、既に入手不可能なことだ。というわけで手元にある短杖の本は、戸隠流と江連流の2つしかない。しかも後者はいかにも古く、これで稽古始めようとはちょっと思えないところがある。

とはいえ戸隠流も、読んだだけでは何ともならない。なんどか自習を試みたが、こればかりはどうにもならないようだ。いずれの機会を、待つしかない。

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